2017年06月01日

お薦めの良書「ジャンヌ・ダルク」



ジャンヌ・ダルク (中公文庫) -
ジャンヌ・ダルク (中公文庫) - 文庫 – 1987/3/10
ジュール ミシュレ (著), 森井 真 (翻訳), 田代 葆 (翻訳)



名高きフランスの聖女、ジャンヌ・ダルクの伝記です。著名な歴史家の作なので信頼して読めます。

本の構成は、本文140ページ程、その後に独特で興味深い作者「原注」が50ページ弱続き、さらに「訳注」が60ページ。

その中には、聖ジャンヌ・ダルクがイギリス王とその配下に宛てて「天の王なる神の御名において」書いた手紙の全文なども載っています。

最後に、関連年表と 訳者あとがき があります。

本文だけでなく、その他の注釈部分なども、残らず目を通す事をお勧めします。

ジュール ミシュレ は、大著「フランス史」「フランス革命史」などの歴史書の著者。
「ジャンヌ・ダルク」は、「フランス史」の中で、彼女について書かれた一章です。

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Saint_Joan_of_Arc.jpg





5月30日は、聖ジャンヌダルクの祝日でしたね。聖女の伝記を、読み返していました。

同日付の、カトリック系フェイスブックで見かけた略伝が、とてもよくまとまっているので、最後に転載しておきます。

聖ジャンヌ・ダルクについて、もっと詳しく知りたい方は、上記の本をどうぞ。

この本は、短いですが素晴らしい。
普通の生活をしていた頃のつつましい様子、勇ましくも心優しい戦いの時の姿、鎖に繋がれた牢の中で苦しさ、異端裁判での聖なる受け応えなど、聖女ジャンヌ・ダルクの姿が、生き生きと思い描けます。当時の状況の理解の助けにもなります。

聖ジャンヌ・ダルクが、ただの男勝りで、武術に長け、イギリス軍をやっつけた、などというレベルの話ではなく、まさに、神の「偉大な奇跡」が、一人の聖女を通して行われた、ということが、よくわかります。


もう一つ良く分かることは、間違った「異端裁判」が起こりうる、ということです。
世俗の権力者たちのさまざまな利害が絡み、すべての状況が聖女に不利な中、残念ながら当該の司教までもが自身の安泰のために、「聖女」を「魔女」であるとする判決を引き出そうと力を尽くします。
聖なる権威を持つはずの教会裁判を自身の利益のために利用する とは、死後の罰が恐ろしいとは考えなかったのでしょうか。
また、毅然と反対すべきだった他の聖職者や神学者、修道者たちが、脅しに屈するのか、金に負けるのか、ごく少数を除いて、ずるずると同意したり、曖昧な発言で保身を優先してしまいます。

シャルル七世の戴冠とフランス国家の復興が自分らの利権に反する人々は、別の王を立てるために、聖ジャンヌ・ダルクに「自分が天啓を受け、シャルル七世を戴冠させたことは間違いで、悪魔からのものだった」と言わせたかったのです。
しかし、聖女は最後まで天啓に忠実に留まりました。(ただ一度だけ挫けましたが、すぐに戻りました。)

異端審問官は、教会の聖なる権威への「従順」を楯に、天啓に背くように強要します。その際の聖女ジャンヌのやり取りを引用します。

「それでは、お前は地上にある教会に、我らの聖なる父である教皇に、枢機卿、大司教、司教及び高位聖職者に服従すべきであるとは思わないのか。」
「はい、おそらく、<まず我らの主に仕えさえすれば>」

「お前の(聞く、内なる)声は、お前を戦闘の教会に従属させることを禁止するのか。」
「声はそのことを禁じてはおりません、<まず第一に我等の主に仕えさえすれば。>」

太字がジャンヌの言葉(第4章 裁判 ジャンヌ、教会に従うことを拒絶 より)



 この聖ジャンヌの言葉は、初代教会で宣教をしていた使徒たちが、ユダヤ人に迫害された時の言葉「私たちは人間よりも神に従わねばなりません。」(使徒行録 5:29)に似ています。権威を持つものが間違っている時に、天に背いて迎合することはできないのです。

 1431年、貼札に「異端者、戻り異端、棄教者、偶像崇拝者。。。」と書かれ、火刑にされた処女(おとめ)ジャンヌは、その25年後の1456年に名誉回復を宣言され、1920年に列聖され聖女とされました。
 

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聖ジャンヌ・ダルクおとめ殉教者       記念日 5月30日
 1329年、フランス王チャールズ4世の逝去によりカペー王朝が断絶し、そのいとこにあたるヴァロア家のフィリプがあとを継いだ。ところが、英王エドワード3世はチャールズ4世のおいにあたるという理由からフランス王位相続権を主張して一歩もゆずらなかった。ここで両国は戦端を開き、フランス国内で「百年戦争」という悲惨な攻防戦をくりひろげた。
 その後、国内でも王族間の内紛が起こり、ブルゴーニュ党とアルマニャック党に分かれ、前者は英軍と共同し、後者はあくまでフランスの正統王朝、ヴァロア家のシャルル6世の太子を守って優勢な英軍に抵抗した。この必死の抵抗もむなしく、1428年、仏軍の最後の堅固な城オルレアンが包囲され、ヴァロア王朝の運命は風前のともしびとなった。このとき天来の救い主のように現れたのが、純粋なおとめジャンヌ・ダルクである。聖女は祖国愛に燃えながら自ら陣頭に立ち、オルレアン城を解放してシャルル7世の戴冠式を挙行した。
 彼女は1412年、フランス北東部ドム・レミの寒村に生まれた。草深い田舎の、しかも貧しい農家の娘のこととて学校には行けなかったが、敬虔な両親に見習い、厚い信仰を身につけて、毎日家事の手伝いや羊の番をしていた。この少女もたびたび祖国の危機を聞いて、小さい心を痛めながらフランスを救ってくださいと神に祈っていた。
 1424年、彼女が12歳の時、御ミサが終わって聖堂を出ようとしたとたん、天からの声を聞いた。「ジャンヌ・ダルクよ敵の手からフランスを救え」と。彼女は驚いて「わたくしにどうしてそんなことができますか」と問うと、「天にまします御父が、おまえを助けられるであろう」と答えた。それは大天使聖ミカエルの声だった。そのうえ聖女マルガリタと聖女カタリナもしばしば現れ、ジャンヌを「神の娘」と呼んで勇気をつけた。
 ジャンヌはあまりの不思議に4年の間悩み、貞潔の願を立てて、よく祈り、たびたび御聖体を受けた。16歳の時、ついに彼女は「御旨のままに・・・」と神に誓い、城主のボードリクールに「フランス王を救いに行きますから、私に兵士を伴わせてください」と願い出た。
 はじめはまわりから相手にされなかったが、ジャンヌはこれにひるまず熱心に運動を続けて、ついに村民や城主を説得した。こうしてジャンヌは騎兵の男装で白馬にまたがり、数人の兵士を伴い、シノンにいる皇太子のもとへ向かった。整列した兵士たちの中に変装してかくれていた皇太子を一目で見分け、これに天から告げられた自分の使命を語った。
 皇太子も以前からうわさの流れていた預言、すなわちフランスは純潔なおとめによって救われるということを聞いていたし、いままたジャンヌの誠意ある話に心を動かされたが、念のため数人の大学教授にジャンヌの審査を依頼した。「あなたは天から使命を受けたというが、全能の神に兵士はいらないのではないか」と問われて、ジャンヌは「勝利は神の与え給うものですけれど、戦いは兵士のなすべきことです」と答えたという。1ヶ月の厳密な調査の結果、ジャンヌの使命が認められ、1429年ジャンヌは白い鎧,かぶとを身につけて右手に剣を、左手にイエズスとマリアの御名を記した白絹の軍旗をもって、さっそうと馬にまたがり、槍の精鋭小隊を率いてオルレアンに進撃した。
 途中で将兵に告解と御聖体の秘蹟を受けさせてから、敵中目がけて突撃を開始し、破竹の勢いで次々に敵(英軍)の包囲を突破して数日のうちにオルレアン城を解放した。この奇跡的な勝利にフランス全土の士気は大いにあがり、国民はこぞって神に感謝し、領土回復の希望に燃えたった。ジャンヌはこの喜びをゆっくりかみしめるひまもなく、同年7月幾多の困難を経て皇太子をランスに導き、これをシャルル7世として正式にフランスの王位に即位させたのである。
 これでジャンヌの使命は終わったが、人々に請われるままに軍中に留まり、翌年、首都パリを奪回しようとしていたところを、ブルゴーニュ軍に捕らえられ、英軍に売り渡されたのちルーアンに護送され、英軍の買収した裁判官により宗教裁判にかけられた。この裁判には、最初からシャルル7世の戴冠式を魔女の手になるものとして、これを無効にしようとする政治的意図が強かった。4ヶ月にわたる暴力裁判のすえ、結局なんらの確証もなく、ジャンヌを異端者、魔法使いときめつけ、彼女に火刑を宣言した。ジャンヌは身に長い喪服をまとい、胸に唯一の希望である十字架をかけ、すべてを神のみこころにゆだねつつ、19歳とは思えぬ落ち着いた態度で刑場に向かった。群衆はジャンヌの神々しい姿を見て涙ぐんだ。やがて高く積まれた刑場のまきに火がつけられ、燃えさかる炎の中にジャンヌは「イエズス・マリア」の御名を呼びつつ息絶えた。
 その25年後の1456年に教皇カリスト3世は、この宗教裁判のやり直しを命じ、無罪の判決をもってジャンヌの名誉を回復し、のち、1920年、教皇ベネディクト15世はジャンヌを聖女の列に加えた。

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posted by テレジア at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 良書の御紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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