2015年10月21日

アビラの聖テレジアのことがよく分かる本のご紹介

10月は、私の好きな聖人の祝日が目白押しです。

その中でも特別な意味で敬愛する アビラの聖テレジア(1515年-1582年 祝日:10月15日)の本をご紹介します。


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アビラの聖女テレサの旅(続・アビラの聖女テレサとの対話)
聖母文庫 聖母の騎士社発行
高橋テレサ [訳]
鈴木宣明 [監修]


アビラの聖女テレサの旅―続・アビラの聖女テレサとの対話 (聖母文庫) -


 読んでみて、聖テレジアの人となりが、よく分かる本だと思いました。

 アビラの聖テレジアというと、深い祈りの内に脱魂して恍惚と主イエズスを仰ぎ見ている聖女、天から多くの啓示を受けた偉大な神秘家、そのような神秘体験を書き表し後世に遺した教会博士、という霊的なイメージが強いのですが、そればかりでなく、その活動ぶりもすごいものがあります。それが、この本の中で、聖テレジアのことを「マリア、そしてマルタ」と言われている所以です。
 (ベタニアの聖マリア・マグダレナは霊的な人、その姉妹聖マルタは活動の人、とカトリックでは伝統的に言われております。)


 聖テレジアの代表作、「完徳の道」「霊魂の城」など、霊的な内容に重きを置いた本を読んだだけでは、その霊的な深さは分かっても、実生活や活動面については、ほとんど分かりません。

 この本は、上記の著作の他、「創立史」「自叙伝」また他のいろいろな資料からの抜粋を分かりやすくまとめたものです。
 聖テレジアが多くの人々の援助を受けて、原始会則に従った厳しい生活を送る「跣足カルメル会」修道院を創立していく諸処の手続きや過程をいかにこなしていったか、がよく描かれており、その大きな苦労や喜びも伝わってきます。

 聖テレジアは修室に珍と座って、うっとりとイエズス様を眺めて、楽で幸せな修道生活をしていたわけではありません。

 最初の跣足カルメル修道院を創立するにも、さまざまな試練、嵐のような反対、多くの苦難を乗り越えなければなりませんでした。
 そして、創立5年後、カルメル会の総長ルベオ師がその修道院を訪問すると、聖テレジアとシスターたちの修道生活に深く感動し、もっと多くの跣足カルメル修道院を始めることを許可し、励まされたのです。

 その後の聖テレジアの生活は、旅また旅、幌馬車にゆられて、暑さ、寒さ、雨などの悪天候、ぬかるみ、援助者の不手際による食物の不足や、到着地での宿泊場所の不備など、ありとあらゆる過酷な状況を耐えて、スペイン全土に主イエズス・キリストが讃美される修道院を創立するために、駆け巡った人生でした。

 素晴らしいのは、このような旅の間も、幌馬車に揺られて聖務日課を唱え、宿泊所でも部屋が無ければ布を吊るして仕切を作って禁域を守り、できるかぎり修道生活を会則に忠実に遂行していたことです。活動のために霊的生活を疎かにするようなことはありませんでした。

 多くの聖職者の協力と賛同者の援助を得て、聖テレジアの存命中にスペイン全土に17の修道院が創立されました。そのうち1つは失敗に終わりましたが、それさえも「神がそれをお許しになったから」と淡々と受けとめる謙虚さがありました。

 主の御旨のみを求めた聖テレジアは、人々が心配しようが、同情しようが、困難な創立は避けるように忠告しようが、「それでは神をお愛しできないでしょう」と微笑んで繰り返したそうです。

 多くの修道院創立の後、聖テレジアは、最後に遠地のブルゴスでの修道院創立を依頼されました。すでに高齢であった聖テレジアは、あまりに遠方であることと、冬の厳しさを思って、代理を送ろうと考えました。
 が、主イエズス御自身が「寒さを心配してはならない。私こそ真の熱である。悪魔はこの創立を妨げようと全力を尽くしているから、あなたはその実現を目指して、私の名においてふるいたちなさい。そしてあなた自身行くように。そうすることはひじょうにためになるだろう。」とのお言葉を送られました。
 聖テレジアは、主の御旨を果たすために、ブルゴスへ向けて、生涯最後の旅に出たのでした。そして、17番目の聖ヨゼフ聖アンナ修道院は、無事に創立されました。

 帰途に着いた聖テレジアは、途中、パレンシア、バリドリャド、メディナを過ぎたあと、疲労困憊のためもはやすすめなくなり、アビラではなく、アルバに泊まり、その地で2週間後に亡くなりました。

 最後まで続いた旅、そして最後まで書き続けた創立史でした。

 
グレコ/羊飼いの礼拝.jpgエルグレコ 羊飼いの礼拝




 当時のスペインの各都市の様子や歴史的背景などが、所々に織り込まれ、同時代の有名な画家エル・グレコに霊的助言をした可能性や、聖テレジアの聖徳を信奉する素朴な農民の願いに応えてシスターたちと祈ったらすぐに雨が降った、などの美しい逸話なども含めてあり、飽きずに読めます。

 巻末に、聖テレジアが国王フェリペ2世に書いた3通の手紙も載せられています。
 何度も出てくる時代背景はめんどくさければ、スルーしても良いし、詳しく知りたい方は地図を片手に読めば、17の修道院の場所と相互の距離感などもよく分かって、いっそう臨場感をもって興味深く読めるかと思います。

オススメの一冊です。

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